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更なる献体推進運動を進める

献体推進議員連盟会長
衆議院議員 小沢辰男

 

優秀な医師、歯科医師を育てるためには、きちんとした医学教育がなされなければならず、この為にはまず人体の構造から充分な教育が行われることが、不可欠である。解剖体の不足が叫ばれて久しいが、いよいよ今月25日に施行となる献体法は国民の献体運動を大きく前進させるものと期待される。更に医歯学教育の向上の為、今後とも広く献体精神を普及する運動を推進する所存であり、それが国民によい医療をもたらすことにつながると信じる。

 

参議院議員 大浜方栄
この法律の発効を契機として、「最後のボランティア活動」とよばれる献体運動が、国民に啓蒙普及され、医学及び歯学の教育の向上に寄与するよう念ずるものであります。

 

献体推進議員連盟の発足を喜ぶ

篤志解剖全国連合会副会長 郡司乕雄

 

9月28日、11月25日の献体法施行に先立って、この法案制定に努力下さった国会議員諸氏によって「献体推進議員連盟」が発足した。既に献体登録をしている議員が5名、早速にでも登録をしようと意思表示のあった議員が5名、趣旨に賛同(内家族が登録済議員を含む)し総会に出席された議員3名その他やむ得ず欠席したものの秘書に出席させ理解を示したものが6名という盛況で、この作業のお膳立てをした小生としては全く予想外の嬉しさだった。
思えば長い道のりであった。よくぞここまでたどりついたものかな……と胸が熱くなるばかり。つい2、3年前頃までには、議員会館に献体の理解を得ようと訪問すると、縁起でもないない……とんでもない……と木戸をつかれるか、のれんに腕押しのような無反応ぶりに、運動の限界を思い知らされたものである。それが僅かな間にこの日を迎えた。
これへは何と云ってもマスコミ各位があらゆる部門で息長く献体の有意義を説いてくれ、その結果国も重い腰をを上げて献体運動の認知に踏み切ったことによる。
しかし問題はこれからである。
献体という行為が白日堂々と認められ、その輪が力強く拡がって行くにつれて、今度は受け入れ側の対応いかんが心配になって来る。
供給しようとする側が何の報酬も期待せず純粋に医学の発展を願うのみで登録しているのに引き換え、受ける側の中には単に遺体収集の手段としか認めていない所もなしとしないのである。現に某地方にて、遺体数が足りたからと云って登録受付を躊躇している大学があることをどう見たらよいか。この状態が全国に拡がった場合、われわれはどう対処するべきだろうか、これは改めて原点に帰って献体の理念を受け入れ側に認識させるより方法がない。
研究対象の余るようになった大学では、行路病死者や施設からの遺体が豊富に送られていた昔日のような粗末な扱いをしかねない。
一方啓蒙の方法が未熟であったり、地域的な各種の事情から供給理解の得にくい所では標準の半分か三分の一も研究対象がない。
素人考えでは、あまる所から足りない所へ融通すればと思うが、たとえ困難なセクト主義の解決が出来たとしても、輸送の問題が起ってくる、東京・大阪間の移送費用が40、50万はかるくかかるのである。
目下の所、この対応に最良の策と思われるのは“献体センター”の設立である。需要側の各大学の研究学生の分布図と、供給側たる団体の所属もしくは個々の登録者の一切をコンピューターに打ち込んでおき、必要に応じて配分しながら公の機関で移送して行く、このような態勢をとっておけば、等しからざるを憂うと云った古言にも恥じないことになる。
ひたすら案じられるのは供給遺体が飽和状態に達した時の受け入れ側の態度である。そうならない前から十分考えておく必要がある。
我々が先年国会議員諸氏を訪れて歩くもっと以前に、古い献体登録者1人1人の血のにじむような草の根運動があった。この人達の努力が多くの人達に感銘をあたえ、マスコミを動かして今日の成果を見たわけであるが、将来収集の苦労がなくなったからと云って、会員にどうでもいいような扱いをするよ

 

 

 

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